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闇夜を彩るアラベスク
第4章 かに座の男
道彦が彼女の部屋を訪れてオートロックの暗証番号を打ち込む。
互いのマンションの部屋のロックナンバーも教え合っている二人。
まさに結婚秒読みというつきあい方であった。
「ただいま」
自分の部屋のように彼女の部屋を訪れるとリラックスできた。
「いらっしゃい」
靴を脱ぐために視線を足元においていた道彦は、美春とは違う声にハッとして顔をあげた。
彼を出迎えてくれたのは、美春ではなかったからだ。
「えっと…君は?」
「お帰りなさい、驚いた?紹介するわ妹の美冬よ」
エプロン姿の美春が慌ててキッチンから抜け出してきて妹だと紹介した美冬の背後から申し訳なさそうに両手を顔の前で合わせて拝むポーズをした。
「美冬、ちょっとお鍋の火を見ておいてくれる?」
美春は妹をキッチンに追いやろうとした。
「はいはい、お帰りなさいのチューをしたいんでしょ?私だってそれぐらいの空気は読めるわよ」
はい、ハグするなりどうぞご自由に
そう言って美冬は姉の美春の背中を押して彼女を道彦の胸に押し付けた。
美冬がキッチンに向かったのを見届けて「いったいどういう事だよ?」と美春を胸に抱きしめながら理由を尋ねた。
「ごめんなさい…田舎から急にあの子が遊びに来たのよ…今夜、泊めて欲しいと言い出して…せっかく田舎から出てきたのに出ていってとも言えなくて…」
「なぁ~んだ、そう言うことか
いいんじゃない?食事はみんなでした方が楽しいからさ」
「食事というより…今夜、あなたと愛し合えなくなったのが申し訳なくて」
「いいよ、いいよ
結婚したら彼女は僕の義妹になるんだ。今から仲良くしておいた方が君のご両親に結婚を反対されたときの助け船になってくれるだろうし」
今夜は美春とセックスをする気まんまんだっただけに、言葉とは裏腹に、道彦はあからさまにガッカリした表情をした。

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