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蜜会…春の舞い
第1章 春の舞い
 4

「……ふぅ……ぅぅ………」

 快感の海に沈み、彼の腕の中で微睡んでいると…

「なんか、電話が鳴ってたみたい……」

「え…」

「さっきさ…」

「え、あ、それは……」

「……………」

「ほ、ほら、黙って抜けてきたから、きっとみっちぃからかなぁ…」
 そう呟きながら、ベッドサイドのバッグのスマホを確認しようと左手を伸ばす…

「え?」

 すると彼は、伸ばしたわたしの左手を、傍らから掴み、自らの目の前にかざし…
 指先を見つめてきた。

「ふぅん………」

 そして、優しい目を向け…

「いい………の…か?」
 そう、ひと言呟く。

「え…」

 その彼の目は…
 わたしの嘘に気づいた目。

「いや、ほら……」

「ぁ…………」

 その薬指には…
 長年の、ううん、今朝までの痕がしっかりと浮かんでいた。

「………………」

「……う……ん……い、いいの…………」

「………………」

 彼は、ジッとわたしの目を見つめ…

「………そう……か…………」

 そう、静かに呟いた。


 ブー、ブー、ブー………

「あ…」

 すると再び、バッグの中が震え…
 わたしは、それを黙って見つめる。

「いいのか」

「え、あ、う、うん、どうせみっちぃからだから…
 めんどうだし…さ………」

 だけど…
 それも、わたしの嘘。

 だって、彼女とは20年ぶりの再会だから…

 まだ、電話番号の交換もしていないから…

 
 ふと、窓に目を向けると…

 夜景が煌めく夜空にひらひらと…

 散った桜が、春の夜風に舞っていた……


        蜜会…春の舞い 終。

           春の揺れへ続く。


 春の舞い
 ひらひらごとに
 揺れし心
 すまし顔さえ
 熱を孕みて





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