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『間違い』電話
第6章 『接近』
二言目には、脅してくる。


怒りが込み上げ、自棄気味に言い放つ。


「もういい…好きにしろよ…」


「え…う…そ…」


驚きながら目を見開く尚子に、大きく息を吐き


「はぁ…旦那の事で同情もしたが、こんなの繰り返されたら正直たまったもんじゃない…」


「賢…落ち着いて…」


「俺は落ち着いてる」 


開き直った態度が、気に食わないのか


「会社や麻里に、知られてもいいの!」


「そんなもの!頭ごなしに信じやしない!俺と麻里はそんなんじゃない!」


伊達に、10年も一緒に居た訳じゃない!


俺は麻里を信じるし、会社だってそんなの鵜呑みにしやしない。


威圧的に睨み付けると、尚子は急に泣きそうな顔をして


「賢を…困らせたかったんじゃなかったの……」


すがって伸ばしてきた腕を払った。


散々ここまでやらせて、良く言うよ!


「とにかく帰ってくれ…」


「賢……」


尚子の横をすり抜けて、寝室に服を取りにいく。


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