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『間違い』電話
第9章 『調理』
尚子が作り終わるまで、軽くシャワーを浴びていた。


風呂場から出ると、テーブルには一人分だけ、食事が用意されている。


「…あれ…食べないの?」


「あ…いいの…?」


遠慮気味に、聞いてきた。


何を今更と少し驚いたが、思えば一緒にご飯を食べたのって、最初に会った時だけだよな…。


「もし…時間大丈夫なら、せっかく作ってくれたんだし…」


一人で食べるのも、味気なくなっていたし…。


特に罪悪感も無く、誘った。


尚子は一瞬目を見開き


「う…うん…大丈夫…じゃあ…食べるね…」


嬉しそうな顔を見せ、味噌汁を装おうとし 


「お椀…これ使っていいかな?」


麻里のお椀を見せてきた。


他に無いしな…


「いいよ…使って無いし…」


単純に答えて、冷蔵庫からビールを出す。


「飲む?」


尚子は


「強くないから…少しだけなら…」


「分かったよ…」


コップを用意しながら、麻里の豪酒ぷりが微かに浮かぶ横で尚子は…


「新しいの…買って来なきゃね…」


そう呟いて、テーブルにお椀を置いていた…。

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