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『間違い』電話
第2章 『密会』
「さてと…改めてまして、僕は野上賢です」


「野上…さん…」


ナオコはジッと俺を見た。


「はい…」


「ふふ…私も改めてまして…岩村尚子です」


至近距離で、頭を深々と下げる。


「はい…ナオコさん…ナオはどう書くんですか?」


「漢字ですか?」


「ええ…気になってて…」


俺の頭の中では、ずっとカタカナ表記だった。


「尚且の尚です…ショウとも読む…」


「ああ…そっちの尚でしたか」


直球の方の直子かと思った…。


思い込みは良くないな…。


「マサルさんは…どんな漢字なんですか?」


「賢者の賢で…マサルです。賢い訳じゃないけど」


「ふふふ…そんな事無いですわ。私のあんな間違い電話も冷静に対応してくれたんですから…それに…」



尚子は、言葉を止めた。

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