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第12章 『遭遇』

俺の言葉を聞き終わると


「宏実…？」


確認するかの様に、宏実を見下ろす。


「はい…そうです」


宏実は目を合わせないで、小さく頷いた。


ふ〜ん…こんな神経質そうな旦那でも不倫はするんだ。


「野上さん…有難うございました…こんな遠方まで来て頂いて…お礼はまた改めまして」


深々とお辞儀をされる。


「いえ…普段お世話になってますので…今後何事も無ければいいんですが…」


ついでに聞いてみるか…


「兼子さん…突然不躾なんですが…御社に…小林麻里って社員在職してませんか？」