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『間違い』電話
第3章 『越度』
まるで子供みたいだな…。


いったいどの顔が、本物の尚子なんだ…。


渋る俺に


「賢さん…入らないの…」


入りたくないんだよ…。


「待って…ネクタイ外すから…」


時間稼ぎで、そう言うと


「私、取りたい!」


「はぁ?」


呆れてる間に尚子は飛び付いて来て、ネクタイを掴んだ。


「ちょっと…自分でやるからさ…」


「ふふ…やらせて~」


甘ったるい声で、ネクタイを引っ張る。


「わっ!」


「きゃっ!」


バランスを崩して、二人で倒れ込む。


尚子を潰さない様に、何とか腕を付いて持ち堪えた。


「はぁ…危ないな…」


「賢さん…」


覆い被さる状態でネクタイ掴まれたまま、尚子は潤んだ目で見詰めていた。


「あっ…大丈夫…?」


「うん…平気…」


グイグイと…ネクタイが引っ張っられる。


もしかして…蜘蛛の巣に掛かると…

こんな状態なんじゃないか…。


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