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『間違い』電話
第16章 『報復』
「わぁ〜!海が見えて来たよ賢っ!」


目の前に広がる海にはしゃぐ尚子が車の窓を開けると、潮の香りが微かに鼻腔を衝いた。


「ははは…俺は運転しているから見えないよ!」


「ふふふ!そっかぁ〜海なんて久しぶりだな!もう少し行くと断崖絶壁の名所があるんだよ!」


「へぇ…断崖絶壁なんて…尚子は怖くないの?」


「うん!背が低いから高い所が好きなんだぁ〜!」


「はははっ!だからここを選んだの?」


「うん!一回見てみたかったの…断崖絶壁からの日本海を…」


「…そっか…」


尚子がどうしてそこに拘るかは解らなかったが、宿の手配までいつの間にか済ませていたから、変に意見も出来なかった。


今は尚子の言う事を大人しく聞くしかなかった。


まだ岩村の退職した話しは、尚子にはしていない。


どのタイミングで聞くべきか、俺なりにチャンスを伺っていた。


ただ分かるのは…


今日でこの連鎖反応が、止まるだろうという事だ…。



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