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『間違い』電話
第16章 『報復』
翌日も尚子の希望通り、断崖を見に行った。


展望台からの景色が一番見渡しが良いのに、どうしても尚子は断崖ギリギリまで行きたがった。


「危ないよ…やっぱり止めておかないか」


「ふふふ…賢、結構臆病なんだね!」


無邪気に笑いながら尚子は俺の事なんかおかまいなしに、どんどん岬に向かって行く。


正直…付いて行かない方がいい様な気がする。


でも、もし俺に何かあったとしても、直ぐに足は付くだろうし…
尚子の事だから、行動を起こすなら用意周到にしているだろう。


そんな詮索ばかりしてしまう。


もしかしたら…単純に楽しんでいるのかもしれないな。


「お〜い!急ぐと危ないぞ!」


かなり先に行った尚子に大声で呼びかけたが、潮風に髪を靡かせ、振り返りもしないで突き進んで行く。


「ったく…」


真っ直ぐに見据えれば、目の前には日本海の水平線だけだ。


尚子が見ようとしているのは…


水平線の先の未来なのか…


絶壁の下の…



地獄なのか…。


俺の行く先も…


どっちなんだろう…。


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