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『間違い』電話
第16章 『報復』
ドックン…ドックン…


緊張が一気に高まり脈拍が早くなったせいか、少し頭がフラついて呼吸が苦しくなってきた。


「はぁ……最初から…麻里を狙ってたのか?」


尚子は目を細めて俺をジッと見下ろしながら


「最初〜?最初はただ宏実に電話しようとしただけよ…宏実の身辺を調べている内に…麻里の存在が分かったわ…」


もしかして…そこから尚子の計画が始まっていたのか?


考えをまとめたいのに、アルコールが回ってる時みたいにフラフラしてきた。


「はぁ…はぁ…それで…一人…一人…不倫の仕打ちを…したんだろ?」


尚子は口を結び黙り込む。


「確かに…不倫は…良くない…でも…復讐なんかしても…何も…はぁ…ならないだろ…」


知らずとはいえ尚子に加担してしまった俺が偉そうな事は言えないが…
人の命を落としてまで… 不倫の清算をさせる必要が有るとは思えない。


顔をしかめて…尚子が泣きそうに見えた…が…


「煩い…この猿が…お前が一番悪いんだよ!」


地を這う様な低い声で、罵声を浴びせてきた。



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