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『間違い』電話
第5章 『侵襲』
「ちょっと…こっちに…」


「うん!」


嬉しそうに笑う尚子に、苛立ちを感じる。


何で会社を知ってるんだよ!


何で会社まで、来るんだよ!


挙げ句…


「賢さんは卵焼きは甘いのと塩気がある方、どっちが好きかな?」


卵焼きなんか知るか!


エントランスの隅まで連れて来た。 


「賢さん良かったら一緒に…」


「どういうつもりだ…いきなり会社に来て…どうやって調べたんだよ!」


尚子は一瞬キョトンとしたが、また直ぐに笑って


「え~いいじゃないそんな事!それよりお弁当を…」


「弁当なんか、要らない!」


腹立だしさから、強めに言うと…

尚子の目から一気に涙が溢れだした。


ヤバイ!


そう思ったが、遅かった。


「わあぁぁぁぁ~!」 


泣き出しやがった!


エントランスに居た人たちが、一気にこっちを見る。

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