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『間違い』電話
第6章 『接近』
「初め…まして…麻里がお世話になってます…」


余りの衝撃で、気の利いた言葉が思い浮かばない。


「ふふ…お世話になってるのは、新人の私です。麻里先輩仕事も出来るし、優しい……凄い評判も信頼もあって…羨ましいくらい…」


話しながら尚子の目が三白眼になって、笑顔が無くなっていく。


「そうですか…有難う…ございます…」


まだ暑くも無い季節なのに…

背中がじっとりと汗を浮かす。


「もう!岩村さん持ち上げ過ぎ!彼女も凄いのよ!資格試験、短期間で合格して!研修も真面目に話聞いてたし、やる気がみなぎってるのを感じたわ!」


新人が入っても、中々定着しない業界。


やる気のある人材に、麻里は本当に嬉しそうだった。


「岩村さんと話してると、楽しくて!ついこんな時間になっちゃった~。駅まで送ってくるわね!」


「麻里先輩…私、大丈夫ですよ…」


「へ…この辺り、初めてでしょ…」


尚子の口元に…三日月が浮かび…


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