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『間違い』電話
第6章 『接近』
「ふふ…実は、何回か来た事があるので…覚えてるんです」


チラリと俺を見る。


何回か……たまたまか?


「へぇ~そうなんだ!でも、引き留めちゃったし…」


「麻里!俺コンビニ行くから…岩村さんも送るよ…」


「えっ…賢が?いいのかな…」


チラリと麻里が尚子を見ると、一瞬で満面の笑みを浮かべ


「いいんですか!何か申し訳無いです!」


さっきの遠慮が嘘の様に、はしゃいでいた。


「じゃあ…送りますね…」


声が少し掠れてしまう。


「すみません…助かります~」


はぁ!?


思わず目を見開いて尚子を見ると、ニコニコとご機嫌になっていた。 


「賢、有難う~!尚子さん、また明日ね!」


麻里は全く気にした様子も無く、楽しそうに手を振って見送る。


胸の中にやたら重たいモノが、渦巻いた。


「お邪魔しました!」


尚子は麻里に頭を下げて、ベージュのパンプスを履いた。

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