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SAKURA(さくら)
第5章 八重桜 1 弥生
 4

「あん、や、け、けいたぁ…」

『おそうじ』してあげる、どころではなかった――

 部屋に入るなり、突然、後ろから抱きしめられ…
 ベッドに、押し倒された。

「あ、ん、や、んん、け、けい……」

 強引に仰向けにされ…

 唇を、吸い…

 強く、抱き締めてきた。

「や、やよい…さん」

 脚を撫で、そして、顔を下げてくる…

「ん、や、け、けい……あぁ…」

 唇が、膝周りを這ってきた。

「はぁ、ふうぅ…」

「や、ん、あ、し、シャワーを…」

「そんなん、いいっす……」

「ん、や、で、でもぉ……」

「こ、これが、いいんす」

「あぁ、そんな、や…よぉ…」

「ふうぅぅ…」

 まるで、ストッキングの感触を、味わうかの様に、舌先が舐め、這わせてくる…

「や、だ、だってぇ…」

 朝から、一日中、穿いているストッキングである…

「はぁぁ…」

「やん、き、汚いからぁ…」

「や、やよいさんは…汚くなんか…ないっすからぁ…」

「あぁ、そんなぁ…」

 その言葉に、奥が疼いてしまう…

「ふうぅ、い、いい匂いがするっすぅ…」

「ん、やぁぁ…」
 それほど、いや、ぜんぜんイヤではなかった。

 だって、そもそも…

 慶太と、こうして愛し合うきっかけが…

 ストッキングの、伝線のほつれであったのだから――

 あの夜から…

 わたし達は、こうしてシャワーを済ます前に…

 まずは、そのストッキングのほつれを愛でながら、愛し合う様になっていた。

「ふうぅ、このやよいさんの香りが、たまんないっすぅ…」

「あぁ、そんなぁ…」

 そして、この慶太の…

 若い、汗の匂いも…

 わたしの心を、昂ぶらせてくる――

 だから…

 お互いの…

 媚薬と、なっていた――

「あぁ、け、けいたぁぁ……」

 慶太の舌が、ストッキング脚を…

 味わうかの様に、這いまわってくる。

 それに…

 こんな、荒々しさも…

 わたしには、初めての…

 堪らない魅力でもあった。

 もう…

 戻るなんて、できやしない―――


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