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シアター"名画座"で逢いましょう
第9章 独りだけの名画座
仕方ないわ…
一人でもあそこに行かなきゃ…
淫靡で妖しい世界…
そこに行くことに少しだけ躊躇いもあったが、彼にもう一度だけ逢いたいという衝動が日菜子を突き動かしていた。
その日はタンスの肥やしとなっていた学生時代に身に付けていたミニスカートを久々に履いてみた。
当時はなんとも思わなかったけれど、人妻となった自分が履くには少々勇気がいった。
おまけに、通販でTバックショーツまで購入して、それを身に付けるとミニスカートと相まってお尻がスースーしてなんともハレンチな気分にさせてくれた。
『こういうのを履いていたら、きっとあの人は喜んで触りに来てくれるわ』
彼が触りやすいように、わざとパンストは履かなかった。
彼に欲情してもらい、すぐさまシアター内の座席で指遊びしてもらえることを期待した。
あの"名画座"に入るのを誰に見られるかわかったものではないので、真夏でもないのに真っ黒のサングラスを掛け、マスクをつけて顔バレしないように気を付けた。
独りだけで足を踏み入れる映画館。
入場券を購入する時は握りしめた千円札を持つ手が震えた。
普通の主婦が来るべきところではない…
そう思えば思うほど体が疼いてきて目眩さえ起こしそうだった。

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