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シアター"名画座"で逢いましょう
第16章 "名画座"の崩落
固唾を飲んで見守っていた現場の荒くれ男たちも、日菜子の返答を聞いて我が事のように一斉に「うぉ~~!!」っと喜びの雄叫びを上げた。
日菜子の左手の薬指に、今、リングが装着されてゆく。
「やだ…メイクが崩れちゃう…」
涙がこれほど流れ落ちるのかと言うほど日菜子の顔は涙でグショグショになっている。
「生涯、日菜子を愛し抜くからね」一世一代の大仕事を終えた朝倉はフルマラソンを走り抜けたランナーのように大汗をかいていた。
「よぉ~し、みんなぁ!ノロケをいつまでも見てボーッとしてんじゃねえ!作業再開だぁ!!」
現場監督の大声に静寂が消え、重機のエンジン音が鳴り響く。
クレーンに吊り下げられて、名画座の看板がゆっくりと降ろされてゆく。
「これで私たちを出会わせてくれた名画座も役目を終えるのね」
「でも、最後に名画座は一世一代の大仕事をやってくれたよ。この名画座がなければ僕たちは出会うことなんてなかったんだから」
「そうね…ありがとう名画座…あなたが会わせてくれた朝倉さんと、私、幸せになるからね」
二人の足元に"名画座"の叩き壊されたコンクリートの小さな破片が転がってきた。
日菜子は、その小さな破片を拾い上げ、バッグにしまいこんだ。
『ありがとう"名画座"私は幸せになります』
二人は崩れ落ちてゆく"名画座"に背を向けて新居探しへと一歩を踏み出した。
完

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