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シアター"名画座"で逢いましょう
第11章 初めての職質
その日、日菜子は例えようのない焦燥感に襲われていた。
あの"名画座"が今月いっぱいで閉館?…
このまま何もせずに、あそこで初めて出会って愛し合ったあの男とも二度と会えなくなる?
せっかく出会えた心も体も蕩けさせてくれたあの人…
『会いたい…何としてでもあの人にもう一度会いたい』
しかし、劇場内に足を踏み入れるのには躊躇してしまう。
劇場内の座席に座るということは、飢えた狼達の中に餌としてこの身を投じるにも等しい。
彼と会うには、あの劇場に行かなければならない。
でも、他の男の餌食にはなりたくない。
そんなジレンマに頭の中が爆発してしまいそうだった。
「そうだわ!何も劇場に入らなくてもいいじゃない!
あの劇場の入り口が見えるところから見張っていればいいのよ」
我ながらグッドアイデアのような気がした。
どんな男でもいいから気持ち良くなりたいのであれば、彼でなくても劇場内の座席に座っていれば、いくらでも男達が群がってきてくれる。
でも、日菜子は「あの人」に触られたい。「あの人」に抱かれたい。他の男の手にこの体を捧げたくはなかった。
その日から刑事の張り込みのごとく、劇場の入り口を見張る事にした。

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