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シアター"名画座"で逢いましょう
第11章 初めての職質
大きな声をあげて驚く男の顔を見て、今度は日菜子が「あっ!」と声をあげた。
逃がさないぞとばかりに、がっしりと腕を掴んでいる警官。
その警官こそ、目の前のラブホテルで先日日菜子を抱いてくれた例の男に間違いなかったからだ。
「きみ…売春婦だったのか?!」
朝倉は日菜子が立ちんぼをして男を漁っているのだと勘違いした。
「よしてよ!私はそんな女じゃないわ!」
「じゃあ、どうしてこんなところでずっと立っているんだ。君がそこでずっと立っているのを早番の警官も目撃してるんだよ?」
「あなたを…またあなたがそこの映画館に来るんじゃないかと、ずっと待ってたの!」
「えっ?俺を?」
「連絡先も交換していなかったし、あなたなら再び映画を観に来るんじゃないかと思って…」
ようやく出会えた彼が警官だった事に驚くと共に、まさか彼にこうして職務質問される側とする側となって再会するとは思ってもみなかった。
「それよりも、あなた、警察官だったのね…」
不倫は犯罪行為ではないけれど、民法上は『不定行為』として咎められるものだ。
まさか、そんな事をする彼が市民の安全を守る警察官だったことに日菜子は驚いた。
「犯罪の番人であるはずの警官が、あなたを人妻とわかっていながら抱いたんだ。非は認める。ご主人に対して慰謝料を払ってもいい。だから…」
あの日のアバンチュールは公にしないでもらいたいと弁明しようとした。
「何を言ってるのよ!私はあなたを咎めるために待ち伏せていた訳じゃないの!
あなたに…あなたに好意があるから…また抱いてほしくてこうして待ってたのよ!」
「えっ?」
「お願いします!もう一度…もう一度だけでいいから抱いてください!!」
今度は日菜子が朝倉を逃がさないぞとばかりに腕をしっかりと掴んだ。

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