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シアター"名画座"で逢いましょう
第13章 不倫から始まる愛
マンションを後にしたタイミングで広の内ポケットの中でスマホが震えた。
スマホを取り出して画面を見てみると、案の定、不倫相手の十和子からであった。
「何だよ。待ち合わせ場所には必ず行くから連絡してきちゃ困るって言っておいただろ!」
- そんなつれないことを言わないでよ…一刻も早くあなたの声が聞きたかったのよ -
こいつはわかってないな…広は憂鬱になった。
幸いにも、マンションを出たタイミングだったから良かったものの、部屋にいる時に着信があったら、絶対に妻から「誰から?」と疑われてしまうに決まっている。
妻の日菜子には不倫していることを白状してあるが、その不倫相手からの着信だとわかったら、また夫婦喧嘩の火種になるに決まっている。
- ねえ、あなたと温泉だなんて、私、楽しみで仕方ないのよ -
妻の日菜子には仕事で遅くなるとは伝えたが、有給休暇を取って女と遊びに行くとは伝えていない。
「温泉といっても日帰りだけどな」
- そこんとこ残念なのよね~…
ねえ、部屋が空いていたらお泊まりにチェンジしない? -
いくらなんでも、当日に空き部屋があるとは限らない。
「ああ、部屋が空いていたらね」話の腰を折るわけにもゆかず、広は軽い気持ちで宿泊してもいいと言ってあげた。

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