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シアター"名画座"で逢いましょう
第15章 二組のカップル
話し合いは延々と続いた。
答えは「離婚」しかないとわかっていながら、夫の広は首を縦に振ろうとはしなかったからだ。
東の空が仄かに明るくなり始めたころ、痺れを切らして十和子が大鉈を振るった。
「そんな女、くれてやりゃいいじゃない!」
痺れを切らした十和子が、離婚してお互いのパートナーと新たな生活をしてゆくことを提案した。
「いや…離婚というのは…どうにも世間体に白い目を向けられそうで…」
どうやら、離婚=人生の落伍者と見られるのが広にとって体裁が悪いようで離婚に二の足を踏んでいた。
「広さん…このままでは離婚しなくても、結婚生活は破綻しているし、愛のある結婚生活なんか送れませんよ。
今や、離婚なんて、ごくありふれた事なんだし、会社においても世間体から見ても、何ら不可思議な現象じゃないと思うんですけどね」
「ふん!やけに訳知り顔で能書きを垂れてくれるな。
では、離婚した日菜子を君は娶(めと)る覚悟があるのかい?
新品の女ではなく、こんな中古女を君は毎晩愛せると言うのかい?」
中古発言は朝倉を憤慨させただけでなく、十和子と日菜子の二人の女性からも顰蹙を買ってしまう。
「私だって戸籍上はまっさらだけど、男性遍歴からしてみれば中古よ」
十和子は、この男はどうしようもない人ねと呆れ返った。
「旦那さん、あなたは奥さんである日菜子さんの素晴らしさを少しもわかっていない!」
彼女は僕にとってなくてはならない大事な女性なんだ!
そう言って朝倉は隣に座っている日菜子を抱きしめた。
その神々しいばかりの姿に十和子が朝倉の決心の強さに心を打たれた。
「広さん、あなたの負けよ…もう奥さんを自由にしてあげるべきじゃない?語弊があるかもしれないけれど、奥さんの後釜には私があなたを愛してあげるから…」
十和子はそう言って、朝倉が日菜子を抱きしめているように、彼女も広を愛しそうに抱きしめた。

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