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シアター"名画座"で逢いましょう
第15章 二組のカップル

役所を後にして、二人を乗せたマイカーはマンションに向かい始める。

「晩飯、どうする?今夜は四人で鍋でも囲むか?」

食材を買おうか?と広の運転する車はスーパーに向かいかける。

「はぁ~?何よそれ!まるで四人の親友が集まるみたいな言い方はやめてよね」

「あ…そっか…もう俺たち夫婦じゃなかったんだっけ…」

今さらながら、夫婦ではなくなったことを受け止めて、元夫の広はしんみりとした表情をした。
夕闇が迫ってきて、ヘッドライトを点灯させる。
その灯りがラブホテルの看板を反射させて明るく目に飛び込んでくる。

「なあ…」

広は、片手ハンドルしながら、自由にした左手を日菜子の太ももに乗せてくる。

「ちょっと!もう夫婦じゃないんだからやめてよね」

「不思議だよな…夫婦じゃなくなったと思ったら、無性に日菜子を抱きたくなった」

「はぁ?あなた、バカじゃないの!」

こんなスキンシップのひとつでもあれば、あの"名画座"に足を運ぶこともなかったし、離婚なんてするはずもなかった。

「最後に!なあ、最後に一発やらせろよ」

日菜子の同意なしに広は車をラブホテルの駐車場のゲートを潜らせる。

「やめてよ!もうあなたとは他人なんですから!
抱かれる筋合いはないと思うんですけど!」

「そんな冷たい事を言うなよ、離婚してお前がアイツのモノになるんだと思うと、もう一度お前の体を堪能しておきたいんだよ!」

無理やり車から引きずり出されて、広は日菜子を拉致するかのようにラブホテルの一室に連れ込んだ。

「やめて!やめてよ!!警察を呼ぶわよ!」

スマホを手にした日菜子の手を広はがっしりと掴み、無理やりスマホを引き剥がすと部屋の片隅に放り投げた。
そのままベッドにもつれ合うようにして寝かされる。
そして何も言わずに広は唇を重ね合わせてきた。
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