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シアター"名画座"で逢いましょう
第16章 "名画座"の崩落
「おいおい、公開プロポーズかい!」
「返事は?返事はイエスかノーかどっちなんだい?」
「早く答えてやんなよ!」
工事の作業員たちが囃し立てて、スコップやらツルハシでガンガンと辺り構わず叩きまくるものだから、ちょっとした騒ぎになってきた。
「こらぁ!そんなにやかましく囃し立てたら彼女が返事をしても聞こえないだろうが!」
お嬢さん、これを使いなよ
そう言って現場監督の男は手にしていた拡声器を渡してくれた。
スイッチを入れて、あまりにも口元に近づけすぎたものだからピー!っとハウリングを起こした。
「もう少し口から離すんだよ」
現場監督の男が俺が持ってやるよと口元から拡声器を離してくれた。
「さあ、思いきってこの男にイエスかノーか答えてやんなよ」
こんな公開プロポーズなんて、滅多にお目にかかることが出来ないと、ニヤニヤしながら拡声器を持って日菜子の横に立った。
「答えは………」
いよいよ返事をするのだと、誰もが固唾を飲んで待ち構える。
当の本人である朝倉も絶対に自分が待ち望んでいる答えに違いないと思いながらも、いや、几帳面な日菜子の事だから「もっとあなたの事をよく理解してからにしたいわ」とペンディングされるかもしれないとリングを差し出した手がブルブルと震え始める。
ようやく日菜子が待ち望んでいた"その言葉"を彼が言ってくれた!
「答えはイエスよ!!イエスに決まっているじゃない!!」
そう言って日菜子は静かに左手を差し出した。

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