この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
エロ本を拾っただけなのに2 ~熟母・香代子~
第24章 《娘婿と交わす嘘のシナリオ》
──【2024年 冬(1月下旬)】
聡は、手渡されたエコー写真をしばらくの間、じっと見つめていた。
703号室のリビングには、張り詰めた静寂が降りていた。
香代子は、下腹部に手を当てたまま、彼の言葉を待っていた。
この子を産む決意は固まっていた。中絶など最初から考えてもいない。だからこそ、もし彼に「堕ろしてくれ」と冷たく言い放たれたら、1人でこのマンションを出て行く覚悟すらしていた。
やがて、聡がゆっくりと顔を上げた。
「……予定日は、いつなんだい?」
「8月の……22日よ」
「そうか。お盆明けか……今年の夏は、少し忙しくなりそうだな」
あまりにもあっさりとしたその反応に、香代子は目を丸くした。
「聡……嫌じゃないの? 迷惑じゃ、ない……?」
「どうして嫌がる必要がある? 愛しい香代子が、俺の子どもを宿してくれたんだ。こんなに嬉しいことはないよ」
聡は優しく手を伸ばし、香代子の頬を包み込んだ。その温もりと、予想もしていなかった肯定の言葉に、香代子の瞳からホッと涙がこぼれ落ちた。
「でも……この子、どうするの? 優香には……どう説明するのよ」
「優香には、正直に話すよ。俺と香代子が愛し合っていて、子どもができたと」
「えっ……」
「もし、それで優香が俺とは別れると言うのなら、仕方がない。その時は、俺が香代子とこの子を全力で守って、一緒に暮らしていくよ。……だから、何も心配しなくていい」
聡のその言葉は、香代子にとって何よりも欲しかった「愛の証明」だった。
娘の夫ではなく、1人の男として、私を選んでくれる。その圧倒的な幸福感に包まれながらも、香代子の胸の奥底で、チクリと痛むものがあった。
それは、捨てきれない「優香の母親」としての感情だった。
(私が、優香から夫を奪うの……? 身重のあの子を、1人きりにして……?)
女としては、聡の言葉が死ぬほど嬉しかった。だが、やはり自分のお腹を痛めて産んだ娘は可愛い。優香の絶望して泣き崩れる顔を想像すると、香代子の心は激しく引き裂かれた。
娘の幸せを奪う毒親になるか、お腹の新しい命と愛する男を選ぶか。
香代子が答えを出せず、唇を噛み締めて俯いたその時。聡が、まるで彼女の葛藤のすべてを見透かしたように、静かに口を開いた。
聡は、手渡されたエコー写真をしばらくの間、じっと見つめていた。
703号室のリビングには、張り詰めた静寂が降りていた。
香代子は、下腹部に手を当てたまま、彼の言葉を待っていた。
この子を産む決意は固まっていた。中絶など最初から考えてもいない。だからこそ、もし彼に「堕ろしてくれ」と冷たく言い放たれたら、1人でこのマンションを出て行く覚悟すらしていた。
やがて、聡がゆっくりと顔を上げた。
「……予定日は、いつなんだい?」
「8月の……22日よ」
「そうか。お盆明けか……今年の夏は、少し忙しくなりそうだな」
あまりにもあっさりとしたその反応に、香代子は目を丸くした。
「聡……嫌じゃないの? 迷惑じゃ、ない……?」
「どうして嫌がる必要がある? 愛しい香代子が、俺の子どもを宿してくれたんだ。こんなに嬉しいことはないよ」
聡は優しく手を伸ばし、香代子の頬を包み込んだ。その温もりと、予想もしていなかった肯定の言葉に、香代子の瞳からホッと涙がこぼれ落ちた。
「でも……この子、どうするの? 優香には……どう説明するのよ」
「優香には、正直に話すよ。俺と香代子が愛し合っていて、子どもができたと」
「えっ……」
「もし、それで優香が俺とは別れると言うのなら、仕方がない。その時は、俺が香代子とこの子を全力で守って、一緒に暮らしていくよ。……だから、何も心配しなくていい」
聡のその言葉は、香代子にとって何よりも欲しかった「愛の証明」だった。
娘の夫ではなく、1人の男として、私を選んでくれる。その圧倒的な幸福感に包まれながらも、香代子の胸の奥底で、チクリと痛むものがあった。
それは、捨てきれない「優香の母親」としての感情だった。
(私が、優香から夫を奪うの……? 身重のあの子を、1人きりにして……?)
女としては、聡の言葉が死ぬほど嬉しかった。だが、やはり自分のお腹を痛めて産んだ娘は可愛い。優香の絶望して泣き崩れる顔を想像すると、香代子の心は激しく引き裂かれた。
娘の幸せを奪う毒親になるか、お腹の新しい命と愛する男を選ぶか。
香代子が答えを出せず、唇を噛み締めて俯いたその時。聡が、まるで彼女の葛藤のすべてを見透かしたように、静かに口を開いた。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


