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エロ本を拾っただけなのに2 ~熟母・香代子~
第25章 《無邪気な微笑みに隠された妻の罠》
そして、季節は冬から春へと移り変わった。
3月下旬の出産予定日を少し過ぎた、4月3日。
初産ということもあり予定より少し遅れたものの、優香は無事に、元気な女の子を出産した。

産婦人科の個室。
春の日差しが差し込むベッドの上で、優香は少し疲れた、しかし満ち足りた表情で、腕の中に抱く小さな命を見つめていた。
その隣には、仕事を抜け出して駆けつけた聡が腰掛け、愛おしそうに赤ん坊の柔らかい頬を指で撫でている。

「よく頑張ったね、優香。優香に似て、鼻筋が通った可愛い女の子だ」
「ふふ、本当だね。……聡さん、ありがとう。私、すごく幸せ」

新しい命の誕生を喜ぶ、絵に描いたような幸せな夫婦の光景。聡の胸の中には、自分の血を分けた我が子を抱いたという確かな感動があった。
その温かく穏やかな空気の中で、優香は赤ん坊を見つめたまま、独り言のようにぽつりと呟いた。

「ねえ、聡さん」
「ん?」
「聡さんの『次の子』は……どっちかな」

幸せな余韻の中、話の流れで不意に投げかけられた言葉。
聡は深い考えもなく、ふわりと微笑んだまま、無意識のうちに本音を口にしていた。

「……男の子だったら、いいな」

次の瞬間。
優香が、ゆっくりと顔を上げ、聡を見た。
つい先程までの、幸せに満ちた新米の母親の顔はそこにはなかった。
まるで、氷のように冷たく、すべてを見透かしたような、底知れぬ暗い瞳。

「……やっぱり」

優香のその短い一言が、静かな病室に、冷たい刃のように響き渡った。
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