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昼顔~夜顔。不惑の淫乱人妻
第2章 偽りの昼顔(2)
(回想)
3年前。ご近所さんのお爺ちゃんのお葬式があった。

朝からご近所の奥様方が集まり、公民館で御伽の準備をする。そして、お葬式が終われば、夜はまた公民館に集まり、皆でお食事をする。

お食事の席。彼の隣に座ってお酌をさしあげた。彼は目尻に皺を寄せた笑顔で語りかけてくれる。共通の話題もたくさんあるし、彼との会話は楽しい。でも、見つめらると瞬きさえ出来なくなる。

心の奥に秘めた「好きかも」って思いは錯覚ではないこと、そして平島さんも、私の好意にはおそらく気がついていること。

(二人で静かなところで会いたい。あなたのその太い腕で抱いて欲しい。でも今抱かれたら、その負荷に私はきっと耐えられない)

頭の中で繰り返される不惑の情念が年々大きくなってきている。たぶん、年を重ねていっているせいだと思う。平島さんが言った会話が周りの雑音で少し聞こえなかったから、私はすっと平島さんの口元に顔を近づけ、「えっ?」と聞く。

耳元に彼の熱い息を感じる。すると、彼の手がタイツ越しの太ももにそっとのせられた。驚きながらも、その手はそこに置かれたまま動かない。

なに、どうなさったの、心の中で思ったが、彼は私の本心を確かめるような視線を向けた。

「奥さん…今度、食事にでも行きませんか?」

「いいですけど、主人と一緒でしたら。…いつがいいで…すか」

その言葉を遮りながら、

「いや、奥さんと二人でと思ってるんですが。ダメですか?」

「えっ、二人でですか?」

羽毛で体を撫でられるような感覚を覚えた。私の反応を確かめるように太ももの上の手がそっと動く。艶やかなパンストを通して彼の指の動きを感じる。彼に食事に誘われるなんて。驚きで次の言葉がなかなか出てこなかったが、断ると絶対後悔するって気持ちが強く沸き上がった。

「はい。是非。私でよければ。お願いします」とぎこちない返事をしてしまった。

(キャー。嬉しい。心臓はバクバク)

彼の指先が私の足から離れる。彼は目尻に皺を作り、くしゃっとした笑顔を作ると、「また連絡します。そのとき日を決めましょう」と言い、席を立つと公民館を後にした。

彼の背中を見つめながら、私の心臓はまだその鼓動を速めたままでいた。耳たぶと頬が熱くなった。

(いやだ。私ったら。食事に誘われちゃった。このときどんな顔してたんだろう)
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