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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第26章 壁一枚の地獄
鬼頭は備え付けの大きなバスタオルを手に取ると、まずは自らの身体を無造作に拭った。そして、その同じタオルを広げ、抵抗する気力すら失った澪の身体を、優しく、包み込むように拭き始めた。
(……やめろ。触るな……っ!)
雄一は、レンズ越しにその様子を凝視するしかなかった。 自らの手で妻の身体を拭くという行為すら、鬼頭にとっては征服の儀式の一部なのだ。まるで、自分の所有物についた汚れを落とすかのような、そのあまりにも自然な動作。
澪が鬼頭にされるがままに身体を拭かせているその姿は、性行為そのものよりも、もっと根源的な部分を奪われているように雄一の目には映った。彼女の肌、彼女のプライド、彼女の意志――そのすべてが、バスタオル越しに鬼頭の手によって丁寧に、そして一方的に回収されていく。
やがて、白いバスタオルにその身を包んだ二人は、寄り添うようにして室内へとへと戻ってきた。
濡れた身体に纏ったバスタオル越しに、露天風呂から持ち込まれた熱気が重く部屋に滞留していた。鬼頭は濡れた髪を無造作にかき上げ、滴り落ちる雫を気にする様子もなく、手にカメラを提げたまま石像のように立ち尽くす雄一に向かって、冷酷な宣告を突きつけた。
「雄一、悪いが隣に別の部屋を用意させてある。お前はそっちへ移動して、終わるまで待っててくれ」
「終わるまで……」という言葉が、雄一の脳内で不吉に反響した。それは、これからさらに激しく、そして長く、妻が鬼頭に凌辱され続けることを、残酷なまでに決定づける響きを持っていた。
雄一の胸中に、激しい葛藤が渦巻く。壁一枚隔てただけの隣室で、妻が他の男と二人きりで交わることなど断じて許せるはずがない。だが、その怒りのすぐ裏側には、さらに黒く、ドロドロとした倒錯の劣情が潜んでいた。目に見えないからこそ、隣から聞こえてくるであろう澪の声や、肉体のぶつかり合う音への妄想は際限なく膨れ上がり、彼の深層心理を狂わせていく。
鬼頭は、そんな雄一の動揺を見透かすように、薄笑いを浮かべて続ける。
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