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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第28章 晒された交わりの証
「失礼いたします。食事をお持ちしました。」
その直後、襖が静かに開き、数人の仲居が音もなく室内へと入ってきた。
盆の上には、目にも鮮やかな旬の食材が並んだ懐石料理が整然と盛り付けられている。仲居たちは熟練の手つきで、鬼頭、そしてその正面に座らされた雄一の前へと、一品ずつ静かに料理を並べていく。鬼頭のすぐ隣に座る澪の前にも、等しく料理が供えられた。
室内に漂うのは、出汁の芳醇な香りと、時折響く器が畳に触れる微かな音だけだ。鬼頭は、先ほどまでの獰猛な支配者の顔を器用に隠し、何事もなかったかのように悠然と座っている。対照的に、雄一は指先を震わせ、澪は視線を落としたまま、鬼頭の影に隠れるようにして石像のごとく動かない。
「……ごゆっくり、お召し上がりくださいませ」
最後の一人が深々と一礼し、襖を閉めて退室した。完全に三人の世界に戻った瞬間、鬼頭は手近な酒器を傾け、喉を鳴らして一気に飲み干した。そして、堰を切ったように再び口を開いた。仲居の前で沈黙を守っていた反動か、その語り口はさらに明け透けで、容赦のないものへと変わっていた。
「雄一、この脂の乗った刺身を見てみろ。昨夜の澪の肌も、ちょうどこれと同じように瑞々しく、指を滑らせればどこまでも吸い付いてくるようだった。特にお前のいる部屋のほうの壁に押し付けた時の、この女の背中の曲線は、まさに絶景だったよ」
鬼頭は箸を動かしながら、まるで戦利品を誇示するような目つきで、隣に座る澪の腰に手を回した。
「澪はな、お前に自分の声が聞こえているのではないかと怯えれば怯えるほど、皮肉なことに中が熱く、狭くなっていくんだ。俺はあえて、こいつの耳元で囁き続けたよ。『ほら、雄一が隣で息を殺しているぞ。お前が俺のモノを咥えて喉を鳴らす音も、全部聞こえているはずだ』とな。その瞬間の澪の反応といったら……言葉では言い尽くせない。お前への罪悪感が、こいつにとってはどんな高価な媚薬よりも効き目があったようだな」
澪は、目の前に並べられた豪華な料理に一切箸をつけず、膝の上で拳を握りしめて震えている。その顔は、屈辱と、いまだ身体の芯に残っているであろう情事の残滓によって、赤く染まったままだった。
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