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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第29章 白昼の裏切り生絶頂
隣の自室に戻った雄一は、閉め切った襖に背を預けたまま、ずるずると畳に崩れ落ちた。  窓からは昼下がりの明るい陽光が差し込み、平穏な静寂が広がっている。だが、雄一の頭の中は、今まさに隣の露天風呂で行われようとしていることへの想像で埋め尽くされていた。
(……見たい。澪が、あの男にどうされているのか……)
胸を掻きむしるような悲しみと同時に、自分以外の男に「女」として作り替えられていく妻の姿をこの目で確かめたいという、ドロドロとした劣情が全身を駆け巡る。自分は夫であり、あの男は赤の他人だったはずなのに、今や自分の方が壁一枚隔てた孤独な観測者に成り下がっている。
この宿の露天風呂は、隣室との間を強固な竹垣が仕切っている。湯の音や話し声は聞こえても、視界は遮られているはずだった。しかし、雄一は憑りつかれたような足取りで、自室の露天風呂へと続く濡れ縁に出た。
「どこか……どこかに見える場所はないのか……っ」
竹垣の中ほど、岩風呂の様子が最もよく見渡せるであろう位置を、必死に探り歩く。指先が裂け、血が滲むのも構わず竹の節をなぞり続けた。すると、長年の湿気で竹が一部朽ち、結束が緩んでわずかに浮き上がっている箇所を見つけた。雄一はなりふり構わず、その隙間に指をかけ、力を込めてこじ開けた。
「……っ!」
広げられたわずかな隙間の向こう側に、隣の岩風呂が、初夏の日差しを反射して眩しく輝いていた。
そこへ、ゆったりとした足取りの鬼頭に寄り添うようにして、澪が入ってきた。はだけた浴衣の隙間から覗く彼女の肌は、明るい光の下で残酷なほど白く、そして直前までの激しい情事を物語るように、生々しく赤く火照っている。雄一は竹垣に顔を押し付け、自身の心拍音に耳を貸すこともなく、ただ呼吸を忘れてその地獄のような光景を凝視した。
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