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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第34章 商談の色香
隣に座った澪からは、微かに甘い香水の香りと、緊張による微かな熱を帯びた肌の匂いが立ち上っていました。神楽坂はその混じり合った香りを愉しむように目を細めると、下卑た笑みを浮かべて彼女が差し出した杯を受け取ります。
「おやおや、そんなに近くに来てくれるとは。鴫原くん、君は実に……『熱意』のある秘書だ」
神楽坂は、澪のブラウスの隙間から覗く白いレースと、深く波打つ谷間に視線を釘付けにしながら、わざとらしく彼女の手元に指先を重ねました。澪は一瞬ビクリと身を竦ませましたが、対面に座る鬼頭の「守る」という言葉を胸に、精一杯の微笑みを維持します。
鬼頭は絶妙なタイミングで、滑らかな口調の助け舟を出しました。
「神楽坂さん、実は今回のプロジェクト、彼女を専任の担当者に据えようと考えておりまして。何かあれば、鴫原がすぐにあなたのもとへ駆けつける体制を整えます。彼女のこの仕事にかける情熱は、私が保証いたしますよ」
「ほう、彼女が担当か……。それはいい」
神楽坂の関心が、明確に「澪という存在」へと移り変わりました。彼は酒が進むにつれ、ますます饒舌になり、澪の耳元で執拗に囁きかけたりと、その行動はエスカレートしていきます。澪が不安げに鬼頭を見やると、彼は鋭い眼光で神楽坂を牽制しつつも、言葉はどこまでも慇懃に保ちました。
「あまり彼女を困らせないでやってください。彼女も、あなたにご納得いただけるよう必死なのです」
その言葉に背中を押されたのか、神楽坂は満足げに頷き、ついに口を開きました。
「よし、分かった。鬼頭さん、今日のところは『仮契約』といこうじゃないか。ただし……本契約まで至るかどうかは、担当者である鴫原くんの、今後の働きぶり次第だ。いいな?」
「……承知いたしました。ありがとうございます」
鬼頭は深く頭を下げました。ひとまずは、喉から手が出るほど欲しかった成果を勝ち取ったのです。それからほどなくして、上機嫌な神楽坂をタクシーで見送り、ようやく商談の場は解散となりました。
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