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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第12章 二人のファースト・デイト~求めていた温もりと約束~②
彩香は微笑みながらも、どこか寂しげな表情を浮かべた。

父親としてちゃんと責任を果たしている健治さんの姿が嬉しい反面、
自分にはまだ見えない彼の「もう一つの人生」を感じて、胸の奥が少し疼いた。

「……素敵ですね。お父さんとして、ちゃんと向き合ってるんですね」

すると彩香はマグカップを両手で包み込み、少し視線を落として小さな声で尋ねた。

「来週、父の日ですが……その日も会うのですか?」

健治さんは彩香の横顔を見て、優しく微笑んだ。
彼女の声にわずかに滲んだ寂しさが伝わってきたからだ。

「ああ、今年も会う予定だ。午前中に貴と会って、昼過ぎには戻ってくるよ」

健治さんは彩香の肩を引き寄せ、額に優しくキスをした。

「寂しいか?」

彩香は少し頰を赤らめながら、正直に小さく頷いた。

「……少しだけ。でも、健治さんが息子さんを大事にしてるのを知れて、
嬉しくもあります。
ちゃんと父親でいてくれて……かっこいいなって、改めて思いました」

健治さんは低く笑い、彩香をもう少し強く抱き寄せた。

「ありがとう。俺も嬉しいぞ。」

彩香は温かいコーヒーの蒸気で曇りかけた視界の中で、
健治さんの胸にそっと寄りかかった。

二人の間には、穏やかで、優しく、ほんの少し切ない空気が流れていた。
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