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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第13章 二人のファースト・デイト~求めていた温もりと約束~③
「……寂しい」

小さな声が、唇から自然と零れた。
タクシーの窓に額を軽く押し当て、夜の横浜の街並みをぼんやり眺める。

明後日会社で会えるのはわかっている。

でも、今日のような甘くて特別な一日が終わってしまうことが、
こんなにも切ないなんて思わなかった。
(健治さんとずっと一緒にいたい……
朝まで、あの広い胸に包まれていたかった……)

涙が一粒、頰を伝った。彩香は慌てて指で拭いながらも、
口元には自然と柔らかい笑みが浮かんでいた。

幸せすぎて、怖いくらい。今日、健治さんは何度も「俺の彩香」と呼んでくれた。

「ずっとこうしていたい」と言ってくれた。

父の日の夜も、自分の家に来てくれると約束してくれた。

彩香はスマホをそっと取り出し、ロック画面に映る今日撮ったツーショットを見つめた。
健治さんの渋い笑顔と、自分が幸せそうに寄りかかっている姿。

「……大好きです、健治さん」

タクシーは夜の道を静かに走り続ける。

彩香は胸にスマホを抱きしめ、目を閉じて今日の温もりを大切に胸の奥にしまい込んだ。

別れの夜は、静かで、甘くて、少しだけ切なかった。
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