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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第15章 会社で疼く恋~平日の秘密の距離/月曜日~
しかし——どうしても健治さんの声が耳に入ってしまう。
「部長、来月の予算の件ですが……」
低く落ち着いた、いつもの課長らしい声。
時折混じる、口ひげを指で軽く撫でる癖のある仕草も、彩香にははっきりとわかった。
(……健治さんの声、近い……)
彩香が無意識にそちらへ視線を向けると、ちょうど健治さんも彩香の方を見ていた。
一瞬だけ、目が合った。
健治さんは表情を変えずに自然に話を続けていたが、目元だけがわずかに柔らかくなった気がした。
彩香は慌てて視線を逸らし、頰が熱くなるのを必死に堪えた。
(だめだめ……見ちゃだめ……みんなの前なのに……)
柏田さんが彩香に話しかけた。
「中山さん、なんか今日ぼーっとしてる? 疲れてる?」
「い、いえ! 大丈夫です!」
彩香は慌てて笑顔を作り、ケーキを一口食べた。
一方、健治さんも田中部長や大迫課長と話しながら、彩香の声に敏感に反応していた。
彩香が小田さんと笑いながら話す声、碇くんに
「ベイスターズ好きなんです」
と少し弾んだ声で答える声
——どれも耳に心地よく、胸の奥がざわつく。
(……彩香、頑張って普通に振る舞ってるな。可愛い……)
健治さんは内心で小さく微笑みながらも、表面上は冷静に部長との会話に集中していた。
互いの声が聞こえてしまう距離感。
視線を向けられない緊張感。
恋人になって初めての部署内行事は、
彩香にとっても健治さんにとっても甘くも切ない時間となっていた。
「部長、来月の予算の件ですが……」
低く落ち着いた、いつもの課長らしい声。
時折混じる、口ひげを指で軽く撫でる癖のある仕草も、彩香にははっきりとわかった。
(……健治さんの声、近い……)
彩香が無意識にそちらへ視線を向けると、ちょうど健治さんも彩香の方を見ていた。
一瞬だけ、目が合った。
健治さんは表情を変えずに自然に話を続けていたが、目元だけがわずかに柔らかくなった気がした。
彩香は慌てて視線を逸らし、頰が熱くなるのを必死に堪えた。
(だめだめ……見ちゃだめ……みんなの前なのに……)
柏田さんが彩香に話しかけた。
「中山さん、なんか今日ぼーっとしてる? 疲れてる?」
「い、いえ! 大丈夫です!」
彩香は慌てて笑顔を作り、ケーキを一口食べた。
一方、健治さんも田中部長や大迫課長と話しながら、彩香の声に敏感に反応していた。
彩香が小田さんと笑いながら話す声、碇くんに
「ベイスターズ好きなんです」
と少し弾んだ声で答える声
——どれも耳に心地よく、胸の奥がざわつく。
(……彩香、頑張って普通に振る舞ってるな。可愛い……)
健治さんは内心で小さく微笑みながらも、表面上は冷静に部長との会話に集中していた。
互いの声が聞こえてしまう距離感。
視線を向けられない緊張感。
恋人になって初めての部署内行事は、
彩香にとっても健治さんにとっても甘くも切ない時間となっていた。

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