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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第25章 二人の甘い土曜日~背中に甘える女と、過去の影を秘めた男②~
<健治SIDE>

同じ頃、横浜市内のスカッシュクラブ

健治はコートの中で激しく動きながら、壁にボールを打ち返していた。
47歳とは思えない安定した動きと力強いストロークで、対戦相手を圧倒する。

しかし、ラリーの合間、健治の表情は少し硬かった。
汗を拭きながらベンチに座り、ペットボトルの水を飲む彼の頭の中は、

昨夜の彩香との会話が繰り返されていた。


(……昨日の夜、「過去のことも全部話す」と言ったが……
どこまで話すべきか)

健治はタオルで顔を拭き、深いため息をついた。

口ひげの端を指で軽く触りながら、考え込む。

土曜日の夜、マンションで彩香に息子の貴の存在を伝えた時のことを思い出す。


彩香は写真を見て
「かっこいい息子さんですね!」
と純粋に喜んでくれた。


あの時の彩香の笑顔は今でも鮮明に覚えている。


(貴のことはもう伝えてある……
だが、彩香のことを貴に伝えるべきか……
それが今、一番悩んでいる)

健治はラケットを握ったまま、遠くを見つめた。
胸の奥に重い葛藤が広がっていく。
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