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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第25章 二人の甘い土曜日~背中に甘える女と、過去の影を秘めた男②~
離婚の決定打 —— 貴が小学6年生の秋

その夜、健治は仕事が早く終わり、いつもより1時間早く帰宅した。

玄関の鍵を開けると、
貴の部屋から香織の声が聞こえてきた。

ドアが少し開いていた。

「……お母さん、今日もこの問題集やるの?」

「そうよ。来年は中学受験なんだから、今が大事な時期なの。しっかりやって」


香織の声はいつもより甘く、少し意地悪く響いた。



「ねえ貴。お父さんみたいにあんな自由奔放な人に将来なったらダメよ。
昔はもっと酷かったんだから……
女の人と何人も遊んで、私と結婚する直前まで本命の彼女がいたのよ。
それでも遊び続けて、……結局、責任を取らされたようなものなんだから」


一瞬の沈黙の後、香織は続けた。


「貴は私たちの誇りなの。だから着実に、計画的に生きてね。お母さんがついてるから」


健治はドアの前で凍りついた。

手に持っていたスーパーの袋が、重く感じた。


中には貴の好きな唐揚げの材料と、
明日一緒にキャッチボールしようと買ってきた新しいボールが入っていた。


(……俺はまだ、香織の中であの最低な男のままなのか)


胸の奥が、ずしりと重くなった。
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