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影を背負った愛~足りない愛を、君に 《2024年夏至編》
第44章 逃げ切れない平日の甘い攻防~水曜~昼編
<健治SIDE>

同日 12時38分 マクドナルド店外

健治はゆっくりと歩いてマック前に到着した。

窓ガラス越しに、すぐに彩香の姿を見つける。
彩香が窓際に座り、頰を赤らめて身をよじっている様子。
ハンバーガーを小さくかじりながら、時折遠い目をしては慌てて首を振る姿が、
健治の胸を熱くした。

(……可愛いな)

健治は少し離れた位置の外から、じっと彩香を眺めた。
口ひげの下で満足げな笑みが浮かぶ。

(マックで一人で食べてる彩香……
しかも俺のことを考えて赤くなってる……
逃げてるつもりなのに、こんなに俺のことを考えてくれてるのが丸わかりだ)

健治はスマホを取り出し、ゆっくりとLINEを打った。

【大内 健治】
マックか。
美味そうだな。
今、顔真っ赤にして俺のこと考えて震えてるだろ?
可愛いぞ、彩香。
逃げても無駄だということは、ちゃんとわかってるよな。

送信。


<彩香SIDE>

同時刻 マクドナルド 彩香の席 

スマホが震えた瞬間、彩香はびくりと肩を跳ねさせた。

通知を見て「健治さん」の表示が出ただけで、心臓が跳ね上がる。
慌てて画面を開いた途端——

(……え……!?)

同時に、窓ガラスの外に視線を移した彩香は、
少し離れた場所に立っている健治さんの姿を捉えた。

逞しい体躯、渋い横顔、口ひげ。

こちらをまっすぐに見つめ、低く優しい——しかし意地悪な笑みを浮かべている。

「……っ!?」

彩香の顔が一瞬で真っ白から爆発的に真っ赤になった。
両方の事実に同時に気づき、パニックが頂点に達する。

スマホを落としそうになり、慌ててトレーを両手で抱え込むようにして縮こまる。
太ももをぎゅっと閉じ、肩を震わせながら窓の外とスマホを交互に見る。

(見られてる……!しかもLINEまで……!
「顔真っ赤にして俺のこと考えて震えてるだろ?」って……全部バレてる……!)

彩香は耳まで真っ赤にし、窓ガラスに顔を近づけて隠れるようにうつむいた。
心臓が爆発しそうで、呼吸が荒くなる。

(健治さん……外から見てる……意地悪……本当に意地悪……
でも、なんでこんなに嬉しいの……もう、死にたい……でも、会いたい……)

パニック全開の彩香は、
トレーの上で小さく丸くなりながら、
好き避けと恋心の間で激しく揺れていた。
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