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影を背負った愛~足りない愛を、君に 《2024年夏至編》
第46章 逃げ切れない平日の甘い攻防~木曜~
同日 14時15分 13階 企画部フロア 彩香の自席

小川さんが戻ってきたことで、作業は再開された。

三人で資料を囲む形になり、表面上は普通のまとめ作業が続いていた。

健治さんは真面目な課長の顔を崩さず、淡々と指摘を入れていく。

しかし、テーブル下では意地悪が続いていた。

内腿を執拗に撫でていた手は一旦離れ、
今度は彩香の手に自然な動きで軽く触れるようになった。

資料を共有するふりをして指先が触れ合い、
時折、手の甲を優しく撫でる。
親指で彩香の指の間をくすぐるように滑らせる動きも混ざる。

彩香は小川さんがすぐ隣にいるため、
声を出すこともできず、必死に平静を装っていた。

「……ここ、表現をもう少し柔らかくした方が……顧客に……伝わりやすいかと……」

声が震え、息が荒い。
顔は真っ赤で、額に薄く汗が浮かんでいる。

健治さんは穏やかな声で応じながら、
指先で彩香の手を優しく包み込むように触れ続けた。

「そうだな。中山の言う通りだ。
ここは丁寧に……深く、寄り添うような表現にしよう」

言葉は仕事の内容だが、彩香には明らかに二重の意味に聞こえた。
小川さんは全く気づかず、普通に資料を眺めている。

(……監視カメラは入口と部長と課長席の辺りだけ……ここなら……見えない……)

健治さんはそれをわかっているかのように、
彩香の手を優しく、しかし執拗に触れ続けていた。

彩香は唇をぎゅっと噛み、涙目になりながらも、
必死に作業を続けていた。
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