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テニス部部長 多部井裕子
第7章 エースの帰還
「早苗!一緒に部活いこ!」
椅子に座る菊地早苗の横に来て腕を引っ張る多部井裕子。
「可愛いな~裕子は」
そんな多部井裕子にデレッとする菊地早苗。
菊地早苗の言葉に小さい目を細めてフニュとする多部井裕子。
不意にそのデレ顔をキリッと引き締める菊地早苗。
「なあ裕子、先に部室に行っていてくれないか」
静かに優しく多部井裕子に語りかける。
ごくっと唾を飲み込み。
「わかったわ、あんた、うちは部室であんたの帰りを待ちます、それが極道の妻の勤めや」
相変わらず浮かれているのか極妻ごっこを始める多部井裕子。
「おう!ワシャ、必ず行くから安心せい!」
なんか文太にぃの物真似らしき物で返す菊地早苗。
なんかこの二人。
今日もしっかりおバカだった。

少し強めの風が吹き続け。
砂ぼこりが舞うグラウンド。
エンジの裏地を晒し袖をおった白い腕でチョ○バック(平たく潰した学生鞄)を肩に背負い。
鋭い目つきで前を見据え。
長過ぎるスカートをたなびかせ。
砂ぼこりの中を進む菊地早苗。
口許はタランティーノ映画で布袋さんの聞かせたギタープレイを口づさんでいる。
テニス部の部室の前に立つと。
自前のBGMを止め、大きく息を吸い込む。
そして。
「邪魔するで~」
勢い良くドアを開ける。
と。
「邪魔するなら帰って~」
多部井裕子やその他、多くの後輩達の声。
実は涙もろい菊地早苗。
もうウルウルしながら。
「邪魔したな~」
と帰りかけて。
「って何でや~!」
最後もまでやりきる。
パン!パン!パ~~ン!
鳴り響くクラッカーの音についに。
「そんなの泣いちゃうよぉ!」
と言いながら既に子供のように泣いている菊地早苗。
そんな菊地早苗に。
「早苗~、お帰り~」
多部井裕子もボロ泣き。
そして。
しっかり抱き合い泣き合う二人。
そんな二人に。
あちらこちらで貰い泣きを始める後輩たち。
何ともおバカだが。
何とも眩しい光景だった。

実は菊地早苗。
その筋力からか、テニスの実力はなかなか凄かった。
性格もさっきのようにノリも良い。
退部していた期間でも多部井裕子に負けず劣らず。
後輩たちに人気のある先輩だった。
その菊地早苗の復帰だ。
結局、初日は菊地早苗の歓迎、お帰りなさい会になったテニス部であった。


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