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微笑みの悪女
第3章 チェ・ソウン その任務
微かに香水の香りが薫る黒のブラジャーを着け。
パンティを履き。
一緒に受け取った膝下までの黒いストッキングを履くチェ・ソウン。
生まれて初めて着ける高級ランジェリーに冷静を装いながらもその胸は高鳴る。
そして。
やはり高級そうなブラウス、ダークグレイの膝丈のタイトスカートとスーツを身に纏うチェ・ソウン。
「お待たせしました、閣下」
ミジョンに向かいピシッと胸を張るチェ・ソウン。
そんなチェ・ソウンに。
「足のサイズは?」
あくまでも無表情に尋ねるミジョンだった。

ホテルに寄ったのはチェ・ソウンの着替えの為だったのか。
チェ・ソウンが着替え終わると早々に部屋を後にするミジョン。
そしてチェ・ソウン。
ミジョンとチェ・ソウンが部屋から出たタイミングで何の迷いもなく同行する二人のSP。
さすがは最接近のSP を任させる者達だ。
そんな事を考えミジョンとSP の間で歩みを進めるチェ・ソウン。
でも待て。
そんなSP二人よりミジョンに近い位置で歩く私は何だ?
冷静になれば、なるぼど。
処分の対象にも成りうる自分が。
何故、自分が此処にいるのか?何故、こんなにも好待遇されているのか?
そんな疑問が脳裏を占めるチェ・ソウン。
影武者?
そんな考えが唐突に浮かぶが。
背格好や雰囲気は似ているかもしれないが。
年齢的に十歳ほどの差は埋めがたい。
顔で一番見られる眼も決定的に違う。
冷静に否定する自分を感じるチェ・ソウン。
では何故?
頭の中の疑問符が堂々巡りを始める。
何にしても答えを握るのキム・ミジョン。
ミジョンがその口から語るまでは黙って指示に従うだけだ。
改めて腹を括ったチェ・ソウン。
今はただ。
ミジョンの後を胸を張りついて行くだけであった。

次にミジョンの車列が向かったのは。
郊外にあるKC人民軍陸軍の基地であった。
ミジョンと車、同じ後部座席に座ったチェ・ソウン。
軍事基地に此処まで近づくのも初めての事であった。
有刺鉄線に囲まれ、砂埃の舞う中に平屋の粗末な建物。
此処がたまたまそんな場所だったのかどうかは分からない。
だが。
其処はチェ・ソウンが政府から言い聴かされていた立派な我軍の基地とは程遠い有り様だった。
だが。
そんな感想はおくびにも出さないチェ・ソウン。
自分の立場が分からない以上は余計な発言はしない。
これがチェ・ソウンの出した答えだった。
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