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壊滅の刻
第9章 和弥
「わたしに会うためだけに、こんな状態なのに歩いてきたの?」
当然、それしかないことを麻美はわかってはいたが、あえて聞いた。頷いて、
「麻美が怖い思いをしているかもしれないって思ったら居ても立っても居られなかったんだ」
和弥が寝たまま麻美の顔を見上げながら話した。
「疲れた?」
麻美がわかっていながら聞いた。
「そりゃあ、疲れたよ。足の感覚がほとんどない」
和弥がそう言って苦笑いした。
「そうなの…」
絶句した麻美が横になっている和弥の足を見た。着ていたレインコートは脱がして寝かしたから、ジーパン姿の下半身を見た。そのジーパンから汗の匂いがしていた。
この距離をこの環境下で歩いてきた和弥。当然、汗は大量に掻いたはず。本当なら風呂に入ってと言いたいところだけど、停電中の上に、ガスも多発する火山性地震で停止したままだった。水だけは断水していたが、井戸水があった。
水質が変わっていないことを祈りながら飲む井戸水。祖母が洗面器に入れてきた井戸水。その横にどこかに仕舞っていた『粗品』『御挨拶』と書かれた紙と共にビニール袋に封入されたタオルが置かれていた。
「ガスも電気もない状況で、断水しているからシャワーを浴びるわけにはいかないけど、拭くから、休んで、回復したら服を脱いで」
麻美が横になっている和弥に言うと、
「いいよ。それくらい、自分でするよ」
と、和弥は言った。和弥にとって、麻美の前で服を脱ぐことが恥ずかしかった。男子校の和弥は女子の前で服を脱ぐようなことはなかったから。それは、麻美も一緒。女子校の麻美も男性の服を脱いだ姿を見たことは、少なくともこの数年はなかった。
「ううん。わたしが拭くわ。だって、わたしが会いたいって言ったばかりに、和弥に苦労を掛けた結果だから」
麻美はそう言って、和弥を見て頷いた。
当然、それしかないことを麻美はわかってはいたが、あえて聞いた。頷いて、
「麻美が怖い思いをしているかもしれないって思ったら居ても立っても居られなかったんだ」
和弥が寝たまま麻美の顔を見上げながら話した。
「疲れた?」
麻美がわかっていながら聞いた。
「そりゃあ、疲れたよ。足の感覚がほとんどない」
和弥がそう言って苦笑いした。
「そうなの…」
絶句した麻美が横になっている和弥の足を見た。着ていたレインコートは脱がして寝かしたから、ジーパン姿の下半身を見た。そのジーパンから汗の匂いがしていた。
この距離をこの環境下で歩いてきた和弥。当然、汗は大量に掻いたはず。本当なら風呂に入ってと言いたいところだけど、停電中の上に、ガスも多発する火山性地震で停止したままだった。水だけは断水していたが、井戸水があった。
水質が変わっていないことを祈りながら飲む井戸水。祖母が洗面器に入れてきた井戸水。その横にどこかに仕舞っていた『粗品』『御挨拶』と書かれた紙と共にビニール袋に封入されたタオルが置かれていた。
「ガスも電気もない状況で、断水しているからシャワーを浴びるわけにはいかないけど、拭くから、休んで、回復したら服を脱いで」
麻美が横になっている和弥に言うと、
「いいよ。それくらい、自分でするよ」
と、和弥は言った。和弥にとって、麻美の前で服を脱ぐことが恥ずかしかった。男子校の和弥は女子の前で服を脱ぐようなことはなかったから。それは、麻美も一緒。女子校の麻美も男性の服を脱いだ姿を見たことは、少なくともこの数年はなかった。
「ううん。わたしが拭くわ。だって、わたしが会いたいって言ったばかりに、和弥に苦労を掛けた結果だから」
麻美はそう言って、和弥を見て頷いた。

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