この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あなたの一番になりたいのに
第2章 【誰よりも愛しているのに】
「ごめん、困らせたい訳じゃない」
上擦る声でそう言い、必死に涙を止めようとする
私とあなたが事故の前はどんな関係性だったのか
思い出そうとすれば酷い頭痛に見舞われる
だから少し遠ざけた
それがかえって彼女を傷付けたのかも知れない
「理由はまだよくわかりませんが……今、あなたを一人にしてはいけないって思いました、私の行動が軽率だったならごめんなさい」
首を横に振り食い止める仕草
私……この横顔を見たのは初めてじゃない気がする
それに、この空気感、触れた温度、彼女の声、
きっと大事な何かを落としてきてる
「彼と会う約束してたの?」
「……はい」
「邪魔してごめん、戻ってください、私はもう大丈夫です」
急に敬語になり違和感を感じたけど
従うしかなかった
小さく手を振り、背を向ける
振り返るとまた手を振ってくれた
何だろう……このモヤモヤ感……?
病室の前で立ったままの進藤さん
戻って来た私に笑顔を見せてくれた
待たせていたのに優しい人だ
「また来ても良いかな」
最後に恐る恐る聞いてきた
うん、と頷くと安堵の笑み
少なからずその笑顔に癒されていた私は
この時、彼は必要だと感じていた
晴れた日は外に散歩に出て
雨の日は病室で会う日々
看護師には彼が恋人だと勘違いされる
両親も彼を気に入り、感謝していた
一緒に仕事していた時期があったみたい
初めて耳にして「はじめまして」じゃなかった事に
びっくりした
脳に負担かけたくなくてあえてそうしたんだって
「退院したら、行きたいところへ一緒に行こう」
「…はい、宜しくお願いします」
リハビリにも精を出し、何とか日常生活を
取り戻せつつある
退院日も決まった
全治6カ月と最初に言われていたけど
回復も早く、後は通院で良いとの事
予定より早めに退院する事が出来た
あれから、彼女の姿を見る事はなかった
母親から後で聞いたが、
時々私を見に来ていたみたいだ
内緒にしててくれと言われたみたいだけど
一度は連絡してお礼を言わなければならない

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


