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あなたの一番になりたいのに
第2章 【誰よりも愛しているのに】





進藤さんから彼女の話を時々聞いていた
とても頭のキレる凄腕社長だそう
私、その人の下で働いてたんだ……
でも今はもう思い出せそうにない
退職願を入院最終日に病室で書いた
今の私じゃ何も役に立てないから
とにかく元の生活に戻れる事に専念する
リハビリも続けていかなきゃならない



退院後、母に付き添ってもらい会社を訪れた
長く通ったであろう建物を見てもピンとこない
初めて来た感じがする
ロビーを見渡してもわからない
持っていたパスで社内に入る
私の居た部署に辿り着くと皆さんが出迎えてくれた
事情を知って心配もしてくださっている



きっと私、人には恵まれていたのかな
頭を下げるしか出来なかった
事故当時、一緒に居たとされる後輩の子は
泣いていた
私が回復して良かった、と
ダメだ、誰も思い出せない



皆に囲まれていた時、ちょうどフロアに
社長とその秘書の人が到着する



「ミオ」と私を呼び、歩み寄ってくれる
母も一緒だったが彼女は
「一度、2人きりでお話させて頂いても宜しいでしょうか」と尋ねた
了承を得ると秘書の人に母を託す
社長は私の手を取り「来て」と連れて行く



社内が広くて驚いてばかり
田舎から上京した人みたいにキョロキョロしちゃう
行き着いたのは社長室
ソファーに座り、両手を握り締められた



「本当に無事で良かった…退院おめでとう」


「…ありがとうございます、今日はお礼が言いたくて、会えなくても病院に足を運んでくださっていたと聞きました、何から何まで…感謝してます」



小さく首を振る
キリッとした瞳
すっと通った鼻筋
きめ細やかな透明肌
全てが整っており、
パーツの配置が左右対称に近い
本当に美人だと思う



バックから出した封筒を目の前に差し出す
それを見た彼女の頬がピクッと引きつった



「本当に、お世話になりました」


「ミオ、今は休職扱いにしてあるし何も気にしなくて良いから」


「覚えてないんです、何もかも」



言葉を失う彼女から目を逸らした
すみません、と言うしかなかった







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