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想いあふれて
第2章 カサブランカ


断崖の上から眺める海は、
視界を遮るものが一つもなく、
広く青く、どこまでも続いて見えた。

胸の奥にざわめく焦りを、
突き抜けるような青が溶かしてくれる気がした。



りつかはテラスに面した窓辺の座席で、
ひとり手元のスマホをテーブルに置き
肘をついていた。

先ほどから求人情報を見ているが、
なかなか条件に合う仕事が見つからない。

会社は、
あの日を最後に退職してしまった。
新しい仕事を見つけなければならない。


衝動的にマンションも引き払い、
あてもなく放浪し、
夕日が美しいこの町にたどり着いた。

サーファーたちが利用する
アパートタイプの民泊で過ごして
一週間がたつが、
利用期限があと七日しかない。

チェックアウトの日を延期はできない。

なんとか仕事のめどを立てて、
新しい居場所に移らなければならない。



滞在している部屋を出て崖の階段を上ると、
このカフェ「カサブランカ」がある。



初めて訪れたとき、
白木のガラス付きドアを押し開けると
「いらっしゃい」
と明るい声が迎えてくれたのを、
今でもよく覚えている。
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