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想いあふれて
第2章 カサブランカ
花は続けた。

「あの花は、
 日が当たって風が吹くと上を向いて開くの。

 旦那と旅行した先で、偶然見たの。

 開いたとき、それまでと全然違う、
 鮮やかな色になるのよ」

まだ見ぬ開花した律花を思った。

「知らなかった」

「素敵な花よ。
 同じ名前なんだから、知っときなさいよ」

そう言うと花は、りつかの肩をポンと叩いて、
楽しそうにカラカラ笑った。

良く響く軽やかなその声が、
じん、とりつかの胸にしみわたる。



それから間もなくして、
花は渡仏に先立って夫の住む鎌倉に拠点を移し、
それまで寝起きしていた店の上の住居を
りつかのために明け渡した。
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