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想いあふれて
第3章 濡れたシャツ、肌の熱
目が覚めると、
二階の部屋のベランダからは青い空が広がっていた。

ぐっすりと眠っていたようだった。


紫苑の姿はもう、隣には無かった。

りつかはシーツに体を包み、
髪に手を入れてうずくまった。

後悔が体の上に重くのしかかるようだった。

昨晩、紫苑を激しく求めながら、
その間も自分の本当の思いがちらついていた。

りつかは啓との情事を思い返していたのだ。

紫苑にはそれすらも許してくれるような
途方もないやさしさがあった。

声も、触れ方も、そのままのりつかでいい、
そう言っているような気がしたのだ。

とはいえ、そんな紫苑の優しさに乗じて
他の男を思いながら抱かれるなんて、
あまりに薄情で卑劣だ。

りつかはゆうべの自分を激しく後悔し、
自分を責めた。

しかし、紫苑とこうなることで初めて、
りつかは自分が抱えてきた寂しさを
初めて認めることができた。

これまで心の奥でずっしりと重く居座っていた
暗いものの正体がわかった気がして、
少しだけ気持ちが軽くなったのも確かだった。


───私、寂しいんだ

呟いて、
カーテンを開けた。

遠くまで広がる青い空が、
今日は途方もなく広くみえて、
自分のいるこの小さな木造の建物のあるこの場所が、
なんだかとても心細く思えた。


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