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想いあふれて
第6章 唇に触れる優しい恋、胸を過ぎる強い風
突然、波音がりつかの耳に届いた。
砂浜には二人以外誰もいない。波乗りする人のシルエットが、ドットのように、遠く、波の上を上下しているだけだった。
「私みたいな最低の女は、やめた方がいい」
りつかは言った。信忠は苦し気に、眉間にかすかなしわを刻んでいる。
「・・・って、これまでの私なら言ってた。でも、今日は正直に言います。私、信さんと寝た後、他の人とも寝ました。正直に言って、今、誰か一人を選べません」
りつかの言葉に、たちまち信忠の表情に明るさが戻った。
「りっちゃん、それって、俺のことはキープってこと?」
信忠が笑う。
「そういうことじゃなくて、私はただ、今思ってることを・・・」
「最高だよりっちゃん」
信忠は少しだけ真面目な目つきになってりつかの手を取って引き寄せると、まるで風が触れるようにそっとキスをした。
りつかははじめは信忠の予想外のキスに目を瞬いたが、やがて眼を閉じ、強引な信忠の、らしくない優しい口づけに、身を任せた。
───信忠は、こんな私を受け入れてくれた
まるで初めてのキスのように、唐突で、衝動的で、まっすぐなキスだった。
穢れのない、ひたすらに純粋な感情が信忠を突き動かしているのを、りつかは感じた。
髪をさらう海風が、さっきよりも優しく、澄んでいる。
───もう、自分に嘘をつくのはやめよう。
りつかは海風のように柔らかく、強い決心を胸に宿した。
砂浜には二人以外誰もいない。波乗りする人のシルエットが、ドットのように、遠く、波の上を上下しているだけだった。
「私みたいな最低の女は、やめた方がいい」
りつかは言った。信忠は苦し気に、眉間にかすかなしわを刻んでいる。
「・・・って、これまでの私なら言ってた。でも、今日は正直に言います。私、信さんと寝た後、他の人とも寝ました。正直に言って、今、誰か一人を選べません」
りつかの言葉に、たちまち信忠の表情に明るさが戻った。
「りっちゃん、それって、俺のことはキープってこと?」
信忠が笑う。
「そういうことじゃなくて、私はただ、今思ってることを・・・」
「最高だよりっちゃん」
信忠は少しだけ真面目な目つきになってりつかの手を取って引き寄せると、まるで風が触れるようにそっとキスをした。
りつかははじめは信忠の予想外のキスに目を瞬いたが、やがて眼を閉じ、強引な信忠の、らしくない優しい口づけに、身を任せた。
───信忠は、こんな私を受け入れてくれた
まるで初めてのキスのように、唐突で、衝動的で、まっすぐなキスだった。
穢れのない、ひたすらに純粋な感情が信忠を突き動かしているのを、りつかは感じた。
髪をさらう海風が、さっきよりも優しく、澄んでいる。
───もう、自分に嘘をつくのはやめよう。
りつかは海風のように柔らかく、強い決心を胸に宿した。

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