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GRATEFUL & GIFT
第2章 冬が終わる前に
千里の細く白い指が浩人の首をまさぐり、指先に当たる短い髪に絡みついていた。
その感触に頭の芯が痺れるような眩暈が起こり、こみあげる愛おしさに胸が苦しくなる。

「ん…ふぁ……っ」

二人から零れる濡れた音に、千里の甘い声が重なる。
零れる息は空気を白く染め、すぐに溶けていく。

「ちぃ…」

角度を変えて何度も千里の唇を啄ばみ、同じように返してくれるのが嬉しくて浩人は自然と口許を綻ばせていた。

キスだけで止めるつもりだったのに……

くっと喉を鳴らして、互いのコートの前を開かせて体を押しつける。それでもまだ幾重もの服に阻まれて、遠い。

千里を想うだけで、傍にいるだけで、男の本能が呼び起こされる。名実共に自分のものにして、自分の子を産ませ、自分の全てで守りたいと欲する。

キスだけでは、足りない。
会うたびに愛し合うだけでは、足りない。

千里の全てが欲しい。
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