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美香・透明な婚姻
第3章 灯篭流しの夜に濡れる
かつて、よし兄と秀隆さんが二人で飲んだ際、彼は酩酊した勢いで、
『秀、美香さんって本当にいい女だな。美人だし、おまけに独り身だろ。よく考えたら、俺は独身なんだから、二人が付き合ったって何の問題もないわけやんな。ああ、美香さんと一発やりてえな……』
そんな本音を漏らしたことがあったと、後から秀隆くんから聞かされていた。きっと、今でもその気持ちは変わっていないだろう。もちろん、私と秀隆くんの間に、すでに誰にも言えない秘密の関係が結ばれていることなど、よし兄は知る由もなかったけれど。
その日は、予定通りに灯篭流しを終え、盆踊りを一通り楽しんだ後、よし兄の実弟である道弘を交えた四人で、近所のスナック「ひまわり」へと足を向けた。
私の装いは白いTシャツにデニムのショートパンツという、いたって軽快なものだった。むっちりとした白い肌の太腿、きゅっと引き締まった足首から、しなやかに肉のついたふくらはぎへの美しい曲線。そして、お尻の割れ目に沿うように食い込んだデニムの生地は、量感のある逆三角形のヒップラインを、露骨なまでに浮かび上がらせていた。
ボックス席に腰を下ろすと、すぐに店員がよし兄のキープボトルであるウイスキーを運んできた。彼はこの店の常連のようだった。よし兄が手際よく全員分の水割りを作り、グラスを合わせて一口すすったその時、彼は不意に秀隆くんの耳元へ顔を寄せ、密やかに囁いたらしい。
「なあ、秀。俺、今日こそ美香さんに告白するつもりだ。あわよくば、今夜抱こうと思っている。このことは内緒だからな」
「……そんなの無理だよ、よし兄」
「やってみなけりゃ分からんだろ。あんな美人を目の前にして、何もしない方が男として失礼ってもんだ」
いかにも彼らしい奔放な言い草を、秀隆くんは冷めた心地で聞いていたという。しかし、彼の心には不思議にも嫉妬心は湧かなかったそうだ。あるのは、よし兄が憧れる私と自分はすでに濃密な肉体関係を結んでいるのだという、歪んだ優越感だった。
よし兄はこの事実を何一つ知らない。だからこそ、秀隆くんはここで動揺を見せるわけにはいかなかったし、私に対して「よし兄と寝ないでくれ」などと子供のようにすがるのも、私の重荷になるだけだと自分を制していたようだった。
『秀、美香さんって本当にいい女だな。美人だし、おまけに独り身だろ。よく考えたら、俺は独身なんだから、二人が付き合ったって何の問題もないわけやんな。ああ、美香さんと一発やりてえな……』
そんな本音を漏らしたことがあったと、後から秀隆くんから聞かされていた。きっと、今でもその気持ちは変わっていないだろう。もちろん、私と秀隆くんの間に、すでに誰にも言えない秘密の関係が結ばれていることなど、よし兄は知る由もなかったけれど。
その日は、予定通りに灯篭流しを終え、盆踊りを一通り楽しんだ後、よし兄の実弟である道弘を交えた四人で、近所のスナック「ひまわり」へと足を向けた。
私の装いは白いTシャツにデニムのショートパンツという、いたって軽快なものだった。むっちりとした白い肌の太腿、きゅっと引き締まった足首から、しなやかに肉のついたふくらはぎへの美しい曲線。そして、お尻の割れ目に沿うように食い込んだデニムの生地は、量感のある逆三角形のヒップラインを、露骨なまでに浮かび上がらせていた。
ボックス席に腰を下ろすと、すぐに店員がよし兄のキープボトルであるウイスキーを運んできた。彼はこの店の常連のようだった。よし兄が手際よく全員分の水割りを作り、グラスを合わせて一口すすったその時、彼は不意に秀隆くんの耳元へ顔を寄せ、密やかに囁いたらしい。
「なあ、秀。俺、今日こそ美香さんに告白するつもりだ。あわよくば、今夜抱こうと思っている。このことは内緒だからな」
「……そんなの無理だよ、よし兄」
「やってみなけりゃ分からんだろ。あんな美人を目の前にして、何もしない方が男として失礼ってもんだ」
いかにも彼らしい奔放な言い草を、秀隆くんは冷めた心地で聞いていたという。しかし、彼の心には不思議にも嫉妬心は湧かなかったそうだ。あるのは、よし兄が憧れる私と自分はすでに濃密な肉体関係を結んでいるのだという、歪んだ優越感だった。
よし兄はこの事実を何一つ知らない。だからこそ、秀隆くんはここで動揺を見せるわけにはいかなかったし、私に対して「よし兄と寝ないでくれ」などと子供のようにすがるのも、私の重荷になるだけだと自分を制していたようだった。

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