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美香・透明な婚姻
第8章 夏が往く、君を忘れない
由衣がこちらへ戻ってくる気配を察し、彼は慌てて身なりを整える。私もすっと脚を引き込め、まるで何事もなかったかのように、静かに食後のコーヒーを唇に運んだ。
「義姉さん、14時になったら出発しましょうか」
彼の言葉に、私は「ええ」と小さく頷きながら、潤んだ瞳で彼の顔を見つめ続けていた。
明日には、もう私はここにいない。 だからこそ、妹の目を盗むこの束の間の逢瀬を、心の底から愉しみ尽くそうと心に決めていた。
約束の14時になり、私は秀隆くんの助手席に滑り込んだ。車は近所のショッピングモールへと向かう。見慣れたはずの道路の向こうには、どこまでも青く、美しい海が広がっていた。私はこの景色を一生忘れないよう、目に焼き付ける思いで窓外を見つめる。
「私ね、妹の家でこういうことをするの、本当はあまり好きじゃないの。だって、家のあちこちに子供たちの写真や絵があるでしょう? あれを見ていると、由衣の家で私、一体何をしているんだろうって、いやな気持になっちゃうのよね」
窓際に肘をつき、流れ去る海の青を眺めながら、私はぽつりと寂しげな本音を零した。
目的地であるショッピングモールは目と鼻の先だったが、最初から二人とも、そこへ向かうつもりなどなかった。彼がハンドルを逆方向へと切ると、インターチェンジの付近に、欧風の古城を思わせる淫靡な佇まいのホテルが見えてくる。彼は迷うことなくハンドルを切り、車はホテルの門をくぐった。
「義姉さん、14時になったら出発しましょうか」
彼の言葉に、私は「ええ」と小さく頷きながら、潤んだ瞳で彼の顔を見つめ続けていた。
明日には、もう私はここにいない。 だからこそ、妹の目を盗むこの束の間の逢瀬を、心の底から愉しみ尽くそうと心に決めていた。
約束の14時になり、私は秀隆くんの助手席に滑り込んだ。車は近所のショッピングモールへと向かう。見慣れたはずの道路の向こうには、どこまでも青く、美しい海が広がっていた。私はこの景色を一生忘れないよう、目に焼き付ける思いで窓外を見つめる。
「私ね、妹の家でこういうことをするの、本当はあまり好きじゃないの。だって、家のあちこちに子供たちの写真や絵があるでしょう? あれを見ていると、由衣の家で私、一体何をしているんだろうって、いやな気持になっちゃうのよね」
窓際に肘をつき、流れ去る海の青を眺めながら、私はぽつりと寂しげな本音を零した。
目的地であるショッピングモールは目と鼻の先だったが、最初から二人とも、そこへ向かうつもりなどなかった。彼がハンドルを逆方向へと切ると、インターチェンジの付近に、欧風の古城を思わせる淫靡な佇まいのホテルが見えてくる。彼は迷うことなくハンドルを切り、車はホテルの門をくぐった。

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