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美香・透明な婚姻
第11章 最後の夜
夏の終わりは、いつも静かに、そして唐突に訪れる。

庭で子どもたちが歓声をあげて花火に興じ、その傍らには由衣の姿がある。私はそっと、愛おしい彼らの後ろ姿を眺める秀隆くんの視線を感じていた。胸の奥をすうっと通り抜けていく、寂寞とした風。彼と過ごす特別な夏が、いま静かに終わりを告げようとしていた。

「今晩、部屋に行っていいですか?」

他愛のない喧騒に紛れ込ませるように、隣に腰を下ろした彼が耳元で囁く。

胸の奥が微かに高鳴るのを感じながら、私は「今日で最後の夜ね。いいわよ」と、微かな吐息とともに言葉を返した。

微かな吐息とともに言葉を紡ぐ、私のプックリとした朱唇。その艶やかな輪郭を見つめるだけで、彼の心の奥底にある情動が激しくかき乱されているのが分かった。もう一度、あの唇に触れたい――彼の心は、乾いた砂が水を求めるように、熱く激しく私の身体を渇望していた。

やがて家の中から生活音が消え去り、静寂が世界を包み込む。私は目を閉じ、薄明かりの中で目を閉じ、彼の訪れを待つ。いつもなら浴衣の下は何も身につけないけれど、今夜は特別に紫の繊細なレースの下着を忍ばせた。

「トントン」と障子の縁を叩く微かな音が響いた。枕元の間接照明を消すと、夜の静寂は「コトリ」という物音とともに、ふっと深い闇へと呑み込まれた。

静かに障子が開く。闇の中に白く浮かび上がるのは、浴衣を纏い、布団の上で身じろぎもせず天井を見つめる私の姿。彼が足を踏み入れると、私は「もう大丈夫なのね」と、安堵と甘い切なさを込めて呟いた。

しばらく互いを見つめ合ったあと、私は細い指先を浴衣の紐へと滑らせた。するりと解かれた衣は、滑らかな肌の上をはらはらと滑り落ちていく。紫の魅惑的な下着が彼の興奮を掻き立てる。そのまま布団に横たわり、潤んだ瞳で彼をじっと見つめる。衣服を脱ぎ捨ててブリーフ一枚の姿になった彼は、引き寄せられるように私の隣へと横たわり、その細い身体をぐっと抱きしめた。




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