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Dilemma
第2章 【過去一好きだった元カレ】
「あの頃の私にとっては本音だったよ」
「今は?」
「……変わらないよ」
「こっち見て言えよ」
肩を抱いて言うから声も近くて
心臓はギュッとなって高鳴っていく
お酒のせいじゃない
こうして触れられたらもう目を逸らせなくなるの
「瑞希、まだ俺ら、やり直せる?」
こんな時に言うのズルい
ぼーっと見つめたまま思考回路が巡る
まともに判断つかないよ
自分で手放して立ち上がるまで
随分と時間がかかった
忘れる為に付き合った人ともダメになって
最低な月日を過ごしてきて……
またこの優しさに触れたら……
またダメになったら……
私はもう二度と這い上がれなくなる
頭撫でないで
頬に触れないで
ちょうどその時、おかわりしたお酒が
運ばれてきて手を引いてくれたけど
バカなほど頬が熱くなっていた
テーブルの下で手を握られて
「もう後悔したくない」って言うの
「は、離して…」
「ちゃんと言って」
「耀くん離して…っ」
顔ごと向いてようやく名前を口にした途端
引き寄せられるように唇は重なってた
「あ…っ」と咄嗟に引いたけど
握られた手を再び引き寄せて重なる
拒んだつもりも全然力入らなくて
懐かしいキスに自然と頬を伝う
半個室になっているお店だとはいえ、弁えないと…
顔を伏せて口元を拭う
「ごめん、これ以上進むつもりもないし、関係が元に戻る事もないよ?その気にさせたならごめんね?」
「うん、俺こそごめん、最低だよな」
立ち上がりバックを取ると、
半額分のお金を置いて先に帰る事にした
引き止められても
「ホテルすぐそこだから送らなくて良い、明日も別々に帰ろ?少し頭冷やしたい」と早口で言いながら後退る
勿論、仕事に影響するなんて事はしない
いい大人だもん
今はとにかく冷静にならないと、と店を後にした
さっきから何度もコールが掛かってる
ごめん、今は出れない、
普通に話せそうにないから
心配かけてるよね、返信ないから
後で言い訳考えさせて
一旦リセットさせて、時間ちょうだい
ごめん……ごめんね………

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